南房総オーガニック長期研修でのびろえむの作業。
びろえむではセット野菜の販売の他、旧三芳村の自宅の広い古民家でゲストハウスやライブなども行っている。こちらでは農作業のほか、みそづくりを体験させていただくことになっている。作ってみたかったので楽しみだ。
■農園で草とりと耕うん、そしてじゃがいも植え
指導者が草刈り機で切った草を集めてじゃがいもを植える畑を準備する。終わったら耕うんだ。
耕うん機は他の農園では見なかった少し小ぶりのもの。指導者は女性なのでこれくらいが扱いやすいとのこと。
少し使わせていただいたがやはりうまくいかない。機械の扱いはほんとにセンスがないようだ。手に入れることができたらしばらく練習の必用があるな、これは。
じゃがいもの植え方は畝に30cm間隔で植えるのだが、一つ置いたらそのすぐ前を踏み、つま先の少し前に置く。足のサイズが27cmだったら3cmくらい前に置いてまた一歩進んで置いて、これの繰り返しで歩きながら種いもを置いていく。
■みそづくり作業
旧三芳村にはみそなどの加工品をつくるための施設があり、市役所に予約を申請して使うことができる。中はみそで使う大豆のにおいでいっぱいだ。
加工場の一部分。使い込まれているが掃除が行き届いていて清潔だ。
・米を洗う
まずは米を洗い、水をつけておくところまで作業する。使用する米は30kgある。これで丸一日おいておく。
・米を蒸す
蒸すために米をざるに空ける。あまり見ない量なので軽くゲシュタルト崩壊した。ざるは二つで15kg(一斗)だ。
さて、米を蒸していくのだが、これだけの量だから当然家庭用のサイズでは追いつかない。こちらは蒸し器の下に置く。水は十リットル近く入っているだろうか。
この上に米を入れた蒸し器をのせる。こちらもキングサイズだ。
蒸しは30~40分以上かかる。途中でふたを開けて中の米を少量つかみ、指でまとめてみる。指導者はひねると言っていた。この感触がやわらかめでもちのようになる感触があったら蒸しは完了だ。蒸した米を布の上にこぼさないように空ける。その後しゃもじでかき回して冷ましていく。
・蒸した米に麹をまぶす
手でつかめるくらいまで冷めたら麹をまく。麹は少量の米にしっかりと混ぜ合わせたものを全体に振りかける。
麹を混ぜるときは米を練らないように、かつ米が傷ついて麹がしっかり入るように、すりこむように混ぜていく。
・自動発酵機へ
完了したら自動発酵機の登場だ。
この上に布巾をかぶせ米をのせる。その後40度に保った状態で20時間稼働させる。20時間後にきりかえし作業が入るそうだ。みそを一から作るとなるとなかなか時間がかかる。
少し時間が余ったのでびろえむ邸(ゲストハウス件ライブハウス)にて竹を集める作業を行った。
この竹はきぬさややスナップえんどうのマルチに刺し、つたをひっかけるために使うそう。ネットではなく竹の枝にかけるようにするらしい。なるほどーこういう資材を使えば当然お金はかからず済む。
竹やぶにはいのししがタケノコを掘った跡が多数。見づらいがところどころ穴が空いているのがわかるだろうか。近年南房総市ではいのししが増えており、地域の人口を超えそうな勢いだそう。農作物も被害にあっており、農家は電流の通る柵などを作っていのしし被害の防止に追われている。
タケノコをかじった跡も発見。これが自分が作った農作物だと思うと悔しいに違いない。
・豆を煮る
豆を煮てミンチし、たるにつめる。このあとは熟成を待つだけとなる。
先日数人で仕込んでおいたらしい大豆だ。これを圧力窯で煮る。合計4斗分を作業するので指導者の友人も加わり、計5人で作業していくことになった。
このたる一つで15kg(一斗)あるが、加工場の圧力窯3つ全てを使って煮るので三等分する。
分けた大豆は手のついた金属のざるに入れ、上からざるのふたをする。
火をつける前にふたが飛ばないよう蛸の足のような部分でふたを硬く固定する。かなり大きい窯なので圧力でかかる力も相当なものになる。事故のないようにきっちりセットしたい。ふたの空気穴は開けて空気が出る状態にしておく。
火をつけたら空気穴から蒸気が勢いよく出るまで強火をキープする。蒸気とともに煮汁が吹きこぼれたら空気穴を閉じ圧力をかけていく。圧力が既定の数値に達したら弱火で30分煮る。その後火を止め10分蒸らす。終わったらふたを開けるが、まず空気穴をゆっくり開放し、少しずつ圧力を下げて蛸の足をはずし、ふたを開ける。
ふたには圧力メーターがついておりこのメーターの0.05が規定の数値だ。0.05に大分近づいているのでこの時点で弱火にしてしまう。
弱火にしても圧力が上がることはある。圧力が赤いゾーンに行くとかかりすぎだ。あまりに高くなると空気穴の部分がふっとぶこともあるらしい。こちらの加工場ではないが、飛んだ部品が頭にあたり死亡したケースもあるらしい。だれか一人は窯を見張るなど、扱いには十二分に注意したい。
さて、完成した大豆はステンレスのプールに移し、しゃもじでかき回して冷ましていく。この後麹をまくが、熱すぎると麹菌が死んでしまうためしっかり冷ましていく。豆のいいにおいがする。
・麹を出す
豆を冷ましている間に麹の準備だ。こちらが自動発酵機に入っていた麹。表面はびっしりと麹菌が張っていて触った感触はフェルトに近い。酒のようなかびのような何とも言えないにおいがする。混ざりやすいようにぱらぱらにほぐす。
豆が冷めたら麹をまき、塩も加えてよく混ぜていく。
・ミンチ作業
出来上がったら最終工程だ。ステンレスプールには一か所出口があり、ここから混ぜ合わせた豆をしたに落としていく。落とした先にあるのはミンサーだ。豚のひき肉をつくるあれだ。上から落とされた豆をミンチして水色のプールに出していく。
ミンサーの金属部分はかなり重量があり、パワーも相当のものだ。万が一指を挟めば確実に無くなる。作業は専用の棒を使い、詰まったりしたら一旦電源を切ってつまりを取り除くといった徹底した危機管理が必要だと感じた。
ミンチされた豆を丸めてボール状にして、たるに投げつけるように入れていく。投げるのは空気が入らないようにするためだ。さらに空気を入れないためにこぶしで押しつぶして、ぎゅうぎゅうに詰めていく。
・最後に寝かせる準備
この後はラップで空気に触れないようふたをし、その上にぬかを敷く(塩を混ぜたものだったか。記憶があいまいだ)。ぬかにかびが生えることで下のみそまで行かないというしくみだそう。ふたの仕方はいろいろあるらしいので、自宅用を作ることがあれば他のやり方も試してみたい。熟成完了は8月ごろの予定だ。最低半年は寝かせるとのことだが、好みで一年物、二年物と時間をかけて熟成する人もいるらしい。こちらもいろいろと試してみたいものだ。
これにてびろえむの研修は終了。みそは自宅用にも、販売用の加工品にもできるのでいい経験になった。
余談になるが、今回はみそづくりだったので装備していなかったが、最近農作業時にはこちらを装着している。
Samson’s Lovery Farmの指導者の勧めで購入してみた。筆者は178cmとやや長身なので腰へのダメージは大きい。体が資本の仕事なので腰を痛めて作業できなくなるなんてことがあれば、収入に直結してしまう。できるだけこういったものを取り入れて体への負担を和らげるのがいいだろうとおっしゃっていた。こちらはドラッグストアで3,000円程度で買えるので、農作業をする人は常備しておきたい代物だ。
雨でなければ長靴より足袋の方がいいとの情報もあった。農作業は一日に低めの山を登るくらいの運動量があるので、できるだけ負担をかけない装備を手に入れておきたい。もちろん価格にもよるが。